「ま、今庄造が戻るさかいに―――」
どたん、どたん、と、二人が盛んに争いながら店の方へ出て来そうなので、慌てて庄造は往来へ逃げ延びて、五六丁の距離を夢中で走った。
それきり後がどうなったことやら分らなかったが、気が付いてみると、いつか自分は新国道のバスの停留所の前に来て、さっき床屋で受け取った釣銭の銀貨を、まだしっかりと手の中に握っていた。
「ま、今庄造が戻るさかいに―――」
どたん、どたん、と、二人が盛んに争いながら店の方へ出て来そうなので、慌てて庄造は往来へ逃げ延びて、五六丁の距離を夢中で走った。
それきり後がどうなったことやら分らなかったが、気が付いてみると、いつか自分は新国道のバスの停留所の前に来て、さっき床屋で受け取った釣銭の銀貨を、まだしっかりと手の中に握っていた。