私なども、彼と食事を共にするようなハメになることを努めて避けていたが、『中外』の内藤民治氏に誘われて、やむをえず赤坂や新橋のお茶屋へ彼と同行したことが二、三度はある。
長江の顔はまだその時分はそれと分るように相好が崩れてはいなかったが、両方の眉根の上に赤くテラテラした角が出来、手の指が二、三本硬直して動かなくなっていた。
「どうなさいましたの」と芸者が尋ねると、「どうもリュウマチでね」とか何とか胡麻化していたが、その手で飲んだ杯を平気で誰にでも差した。
私なども、彼と食事を共にするようなハメになることを努めて避けていたが、『中外』の内藤民治氏に誘われて、やむをえず赤坂や新橋のお茶屋へ彼と同行したことが二、三度はある。
長江の顔はまだその時分はそれと分るように相好が崩れてはいなかったが、両方の眉根の上に赤くテラテラした角が出来、手の指が二、三本硬直して動かなくなっていた。
「どうなさいましたの」と芸者が尋ねると、「どうもリュウマチでね」とか何とか胡麻化していたが、その手で飲んだ杯を平気で誰にでも差した。