歳晩のある暮方、自分は友人の批評家と二人で、所謂腰弁街道の、裸になった並樹の柳の下を、神田橋の方へ歩いていた。
自分たちの左右には、昔、島崎藤村が「もっと頭をあげて歩け」と慷慨した、下級官吏らしい人々が、まだ漂っている黄昏の光の中に、蹌踉たる歩みを運んで行く。
期せずして、同じく憂鬱な心もちを、払いのけようとしても払いのけられなかったからであろう。
歳晩のある暮方、自分は友人の批評家と二人で、所謂腰弁街道の、裸になった並樹の柳の下を、神田橋の方へ歩いていた。
自分たちの左右には、昔、島崎藤村が「もっと頭をあげて歩け」と慷慨した、下級官吏らしい人々が、まだ漂っている黄昏の光の中に、蹌踉たる歩みを運んで行く。
期せずして、同じく憂鬱な心もちを、払いのけようとしても払いのけられなかったからであろう。