そうして、ようやく最後の一節を読み終ると、再び元のような悠然たる態度で、自分たちの敬礼に答えながら、今までの惨澹たる悪闘も全然忘れてしまったように、落ち着き払って出て行ってしまった。
その後を追いかけてどっと自分たちの間から上った、嵐のような笑い声、わざと騒々しく机の蓋を明けたり閉めたりさせる音、それから教壇へとび上って、毛利先生の身ぶりや声色を早速使って見せる生徒――ああ、自分はまだその上に組長の章をつけた自分までが、五六人の生徒にとり囲まれて、先生の誤訳を得々と指摘していたと云う事実すら、思い出さなければならないのであろうか。
そうしてその誤訳は?