ところがそれに釣りこまれたのか、自分たちの声が一しきり高くなると、丹波先生もいつか浮き浮きした声を出して、運動帽を指の先でまわしながら、
「それよりかさ、あの帽子が古物だぜ――」と、思わず口へ出して云いかけた、丁度その時である。
機械体操場と向い合って、わずかに十歩ばかり隔っている二階建の校舎の入口へ、どう思ったか毛利先生が、その古物の山高帽を頂いて、例の紫の襟飾へ仔細らしく手をやったまま、悠然として小さな体を現した。
ところがそれに釣りこまれたのか、自分たちの声が一しきり高くなると、丹波先生もいつか浮き浮きした声を出して、運動帽を指の先でまわしながら、
「それよりかさ、あの帽子が古物だぜ――」と、思わず口へ出して云いかけた、丁度その時である。
機械体操場と向い合って、わずかに十歩ばかり隔っている二階建の校舎の入口へ、どう思ったか毛利先生が、その古物の山高帽を頂いて、例の紫の襟飾へ仔細らしく手をやったまま、悠然として小さな体を現した。