――朧げながらこんな批評を逞ゅうした自分は、今は服装と学力とに対する侮蔑ばかりでなく、人格に対する侮蔑さえ感じながら、チョイス・リイダアの上へ頬杖をついて、燃えさかるストオヴの前へ立ったまま、精神的にも肉体的にも、火炙りにされている先生へ、何度も生意気な笑い声を浴びせかけた。
勿論これは、自分一人に限った事でも何でもない。
現に先生をやりこめた柔道の選手なぞは、先生が色を失って謝罪すると、ちょいと自分の方を見かえって、狡猾そうな微笑を洩しながら、すぐまた読本の下にある押川春浪の冒険小説を、勉強し始めたものである。