――夫がマルセイユに上陸中、何人かの同僚と一しょに、あるカッフェへ行っていると、突然日本人の赤帽が一人、卓子の側へ歩み寄って、馴々しく近状を尋ねかけた。
勿論マルセイユの往来に、日本人の赤帽なぞが、徘徊しているべき理窟はない。
が、夫はどう云う訳か格別不思議とも思わずに、右の腕を負傷した事や帰期の近い事なぞを話してやった。
――夫がマルセイユに上陸中、何人かの同僚と一しょに、あるカッフェへ行っていると、突然日本人の赤帽が一人、卓子の側へ歩み寄って、馴々しく近状を尋ねかけた。
勿論マルセイユの往来に、日本人の赤帽なぞが、徘徊しているべき理窟はない。
が、夫はどう云う訳か格別不思議とも思わずに、右の腕を負傷した事や帰期の近い事なぞを話してやった。