少女はそれにも関らず、西瓜の種を噛みやめては、時々涼しい眼を挙げて、卓の一方に面した壁をぢつと眺めやる事があつた。
見ると成程その壁には、すぐ鼻の先の折れ釘に、小さな真鍮の十字架がつつましやかに懸つてゐた。
さうしてその十字架の上には、稚拙な受難の基督が、高々と両腕をひろげながら、手ずれた浮き彫の輪廓を影のやうにぼんやり浮べてゐた。
少女はそれにも関らず、西瓜の種を噛みやめては、時々涼しい眼を挙げて、卓の一方に面した壁をぢつと眺めやる事があつた。
見ると成程その壁には、すぐ鼻の先の折れ釘に、小さな真鍮の十字架がつつましやかに懸つてゐた。
さうしてその十字架の上には、稚拙な受難の基督が、高々と両腕をひろげながら、手ずれた浮き彫の輪廓を影のやうにぼんやり浮べてゐた。