が、すぐに又視線が移ると、彼女は必吐息を洩らして、光沢のない黒繻子の上衣の肩を所在なささうに落しながら、もう一度盆の西瓜の種をぽつりぽつり噛み出すのであつた。
少女は名を宋金花と云つて、貧しい家計を助ける為に、夜々その部屋に客を迎へる、当年十五歳の私窩子であつた。
秦淮に多い私窩子の中には、金花程の容貌の持ち主なら、何人でもゐるのに違ひなかつた。
が、すぐに又視線が移ると、彼女は必吐息を洩らして、光沢のない黒繻子の上衣の肩を所在なささうに落しながら、もう一度盆の西瓜の種をぽつりぽつり噛み出すのであつた。
少女は名を宋金花と云つて、貧しい家計を助ける為に、夜々その部屋に客を迎へる、当年十五歳の私窩子であつた。
秦淮に多い私窩子の中には、金花程の容貌の持ち主なら、何人でもゐるのに違ひなかつた。