芥川龍之介 『南京の基督』 今夜も彼女はこの卓に倚つて、長い間ぼんやり坐つてゐた。 が、不相変彼女の部屋へは、客の来るけはひも見えなかつた。 その内に夜は遠慮なく更け渡つて、彼女の耳にはひる音と云つては、唯何処かで鳴いてゐる蟋蟀の声ばかりになつた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア