が、私窩子には大金の十弗も、金花の決心は動かせなかつた。
彼女はさつきから椅子を離れて、斜に卓の前へ佇んでゐたが、相手が両手の指を見せると、苛立たしさうに足踏みして、何度も続けさまに頭を振つた。
その途端にどう云ふ拍子か、釘に懸つてゐた十字架がはづれて、かすかな金属の音を立てながら、足もとの敷石の上に落ちた。
が、私窩子には大金の十弗も、金花の決心は動かせなかつた。
彼女はさつきから椅子を離れて、斜に卓の前へ佇んでゐたが、相手が両手の指を見せると、苛立たしさうに足踏みして、何度も続けさまに頭を振つた。
その途端にどう云ふ拍子か、釘に懸つてゐた十字架がはづれて、かすかな金属の音を立てながら、足もとの敷石の上に落ちた。