客はズボンの隠しを探つて、じやらじやら銀の音をさせながら、依然とうす笑ひを浮べた眼に、暫くは金花の立ち姿を好ましさうに眺めてゐた。
が、その眼の中のうす笑ひが、熱のあるやうな光に変つたと思ふと、いきなり椅子から飛び上つて、酒の匂のする背広の腕に、力一ぱい金花を抱きすくめた。
金花はまるで喪心したやうに、翡翠の耳環の下がつた頭をぐつたりと後へ仰向けた儘、しかし蒼白い頬の底には、鮮な血の色を仄めかせて、鼻の先に迫つた彼の顔へ、恍惚としたうす眼を注いでゐた。
客はズボンの隠しを探つて、じやらじやら銀の音をさせながら、依然とうす笑ひを浮べた眼に、暫くは金花の立ち姿を好ましさうに眺めてゐた。
が、その眼の中のうす笑ひが、熱のあるやうな光に変つたと思ふと、いきなり椅子から飛び上つて、酒の匂のする背広の腕に、力一ぱい金花を抱きすくめた。
金花はまるで喪心したやうに、翡翠の耳環の下がつた頭をぐつたりと後へ仰向けた儘、しかし蒼白い頬の底には、鮮な血の色を仄めかせて、鼻の先に迫つた彼の顔へ、恍惚としたうす眼を注いでゐた。