桜頃のある夜、お君さんはひとり机に向って、ほとんど一番鶏が啼く頃まで、桃色をしたレタア・ペエパアにせっせとペンを走らせ続けた。
が、その書き上げた手紙の一枚が、机の下に落ちていた事は、朝になってカッフェへ出て行った後も、ついにお君さんには気がつかなかったらしい。
すると窓から流れこんだ春風が、その一枚のレタア・ペエパアを飜して、鬱金木綿の蔽いをかけた鏡が二つ並んでいる梯子段の下まで吹き落してしまった。
桜頃のある夜、お君さんはひとり机に向って、ほとんど一番鶏が啼く頃まで、桃色をしたレタア・ペエパアにせっせとペンを走らせ続けた。
が、その書き上げた手紙の一枚が、机の下に落ちていた事は、朝になってカッフェへ出て行った後も、ついにお君さんには気がつかなかったらしい。
すると窓から流れこんだ春風が、その一枚のレタア・ペエパアを飜して、鬱金木綿の蔽いをかけた鏡が二つ並んでいる梯子段の下まで吹き落してしまった。