お君さんは長い間、シャヴァンヌの聖・ジュヌヴィエヴのごとく、月の光に照らされた瓦屋根を眺めて立っていたが、やがて嚏を一つすると、窓の障子をばたりとしめて、また元の机の際へ横坐りに坐ってしまった。
それから翌日の午後六時までお君さんが何をしていたか、その間の詳しい消息は、残念ながらおれも知っていない。
何故作者たるおれが知っていないのかと云うと――正直に云ってしまえ。
お君さんは長い間、シャヴァンヌの聖・ジュヌヴィエヴのごとく、月の光に照らされた瓦屋根を眺めて立っていたが、やがて嚏を一つすると、窓の障子をばたりとしめて、また元の机の際へ横坐りに坐ってしまった。
それから翌日の午後六時までお君さんが何をしていたか、その間の詳しい消息は、残念ながらおれも知っていない。
何故作者たるおれが知っていないのかと云うと――正直に云ってしまえ。