翌日の午後六時、お君さんは怪しげな紫紺の御召のコオトの上にクリイム色の肩掛をして、いつもよりはそわそわと、もう夕暗に包まれた小川町の電車停留場へ行った。
行くとすでに田中君は、例のごとく鍔広の黒い帽子を目深くかぶって、洋銀の握りのついた細い杖をかいこみながら、縞の荒い半オオヴァの襟を立てて、赤い電燈のともった下に、ちゃんと佇んで待っている。
色の白い顔がいつもより一層また磨きがかかって、かすかに香水の匀までさせている容子では、今夜は格別身じまいに注意を払っているらしい。
翌日の午後六時、お君さんは怪しげな紫紺の御召のコオトの上にクリイム色の肩掛をして、いつもよりはそわそわと、もう夕暗に包まれた小川町の電車停留場へ行った。
行くとすでに田中君は、例のごとく鍔広の黒い帽子を目深くかぶって、洋銀の握りのついた細い杖をかいこみながら、縞の荒い半オオヴァの襟を立てて、赤い電燈のともった下に、ちゃんと佇んで待っている。
色の白い顔がいつもより一層また磨きがかかって、かすかに香水の匀までさせている容子では、今夜は格別身じまいに注意を払っているらしい。