その日が又意地悪く、底冷えのする雪曇りでの、まして甲州街道は、何処の山だか知ら無えが、一面の雲のかかつたやつが、枯つ葉一つがさつか無え桑畑の上に屏風を立てよ、その桑の枝を掴んだ鶸も、寒さに咽喉を痛めたのか、声も立て無えやうな凍て方だ。
おまけに時々身を切るやうな、小仏颪のからつ風がやけにざつと吹きまくつて、横なぐれに合羽を煽りやがる。
かうなつちやいくら威張つても、旅慣れ無え江戸つ子は形無しよ。
その日が又意地悪く、底冷えのする雪曇りでの、まして甲州街道は、何処の山だか知ら無えが、一面の雲のかかつたやつが、枯つ葉一つがさつか無え桑畑の上に屏風を立てよ、その桑の枝を掴んだ鶸も、寒さに咽喉を痛めたのか、声も立て無えやうな凍て方だ。
おまけに時々身を切るやうな、小仏颪のからつ風がやけにざつと吹きまくつて、横なぐれに合羽を煽りやがる。
かうなつちやいくら威張つても、旅慣れ無え江戸つ子は形無しよ。