「何、あれもみんな嘘でござりやす。
私は旦那に申し上げた通り、越後屋重吉と云ふ小間物渡世で、年にきつと一二度はこの街道を上下しやすから、善かれ悪しかれいろいろな噂を知つて居りやすので、つい口から出まかせに、何でも彼でもぼんぽんと――」
「おい、おい、御前は今胡麻の蠅だと云つたぢや無えか。
「何、あれもみんな嘘でござりやす。
私は旦那に申し上げた通り、越後屋重吉と云ふ小間物渡世で、年にきつと一二度はこの街道を上下しやすから、善かれ悪しかれいろいろな噂を知つて居りやすので、つい口から出まかせに、何でも彼でもぼんぽんと――」
「おい、おい、御前は今胡麻の蠅だと云つたぢや無えか。