だから龍村さんの女帯が、滔々たる当世の西陣織と比較して、――と云ふよりは呉織綾織から川島甚兵衛に至るまで、上下二千年の織工史を通じて、如何なる地歩を占むべきものか、その辺の消息に至つては、毫もわからぬと云ふ外はない。
従つて私の推称が其影の薄いものになる事は、龍村さんの為にも、私自身の為にも遺憾千万な次第であるが、同時に又それだからこそ、私は御同業の芸術家諸君を妄に貶しめる無礼もなく、安んじて龍村さんの女帯を天下に推称する事が出来るのである。
これは御同業の芸術家諸君の為にも、惹いては私自身の為にも、御同慶の至りと云はざるを得ない。