「是は武蔵の国隅田川の渡し守にて候」と云ふ宝生新氏の詞と共に、天さかる鄙の大川の縹渺と目の前に浮び上がる所は如何にも静かに出来上がつてゐる。
僕は一陣の風の中に餌ものを嗅ぎつけた猟犬のやうに、かすかな戦慄の伝はるのを感じた。
――と云ふと偉らさうに聞えるかも知れない。
「是は武蔵の国隅田川の渡し守にて候」と云ふ宝生新氏の詞と共に、天さかる鄙の大川の縹渺と目の前に浮び上がる所は如何にも静かに出来上がつてゐる。
僕は一陣の風の中に餌ものを嗅ぎつけた猟犬のやうに、かすかな戦慄の伝はるのを感じた。
――と云ふと偉らさうに聞えるかも知れない。