二人が宮の中にはいつた時、素戔嗚は又椋の木かげに、器用に刀子を動かしながら、牡鹿の皮を剥ぎ始めた。
が、彼の心は何時の間にか、妙な動揺を感じてゐた。
それは丁度晴天の海に似た、今までの静な生活の空に、嵐を先触れる雲の影が、動かうとするやうな心もちであつた。
二人が宮の中にはいつた時、素戔嗚は又椋の木かげに、器用に刀子を動かしながら、牡鹿の皮を剥ぎ始めた。
が、彼の心は何時の間にか、妙な動揺を感じてゐた。
それは丁度晴天の海に似た、今までの静な生活の空に、嵐を先触れる雲の影が、動かうとするやうな心もちであつた。