しかし幸ひ午後になると、素戔嗚が昼寝をしてゐる暇に、二人の恋人は宮を抜け出て彼の独木舟が繋いである、寂しい海辺の岩の間に、慌しい幸福を偸む事が出来た。
須世理姫は香りの好い海草の上に横はりながら、暫くは唯夢のやうに、葦原醜男の顔を仰いでゐたが、やがて彼の腕を引き離すと、
「今夜も此処に御泊りなすつては、あなたの御命が危うございます。
しかし幸ひ午後になると、素戔嗚が昼寝をしてゐる暇に、二人の恋人は宮を抜け出て彼の独木舟が繋いである、寂しい海辺の岩の間に、慌しい幸福を偸む事が出来た。
須世理姫は香りの好い海草の上に横はりながら、暫くは唯夢のやうに、葦原醜男の顔を仰いでゐたが、やがて彼の腕を引き離すと、
「今夜も此処に御泊りなすつては、あなたの御命が危うございます。