あの火事が燃えて来たのは、丁度私がこの丹塗矢を拾ひ上げた時だつたのです。
私は煙の中をくぐりながら、兎も角火のつかない方へ、一生懸命に逃げて行きましたが、いくらあせつて見た所が、到底西風に煽られる火よりも早くは走られません。
葦原醜男はちよいと言葉を切つて、彼の話に聞き入つてゐる親子の顔へ微笑を送つた。
あの火事が燃えて来たのは、丁度私がこの丹塗矢を拾ひ上げた時だつたのです。
私は煙の中をくぐりながら、兎も角火のつかない方へ、一生懸命に逃げて行きましたが、いくらあせつて見た所が、到底西風に煽られる火よりも早くは走られません。
葦原醜男はちよいと言葉を切つて、彼の話に聞き入つてゐる親子の顔へ微笑を送つた。