ただその中で聊か滑稽の観があったのは、読みかけた太平記を前に置いて、眼鏡をかけたまま、居眠りをしていた堀部弥兵衛が、眼をさますが早いか、慌ててその眼鏡をはずして、丁寧に頭を下げた容子である。
これにはさすがな間喜兵衛も、よくよく可笑しかったものと見えて、傍の衝立の方を向きながら、苦しそうな顔をして笑をこらえていた。
「伝右衛門殿も老人はお嫌いだと見えて、とかくこちらへはお出になりませんな。
ただその中で聊か滑稽の観があったのは、読みかけた太平記を前に置いて、眼鏡をかけたまま、居眠りをしていた堀部弥兵衛が、眼をさますが早いか、慌ててその眼鏡をはずして、丁寧に頭を下げた容子である。
これにはさすがな間喜兵衛も、よくよく可笑しかったものと見えて、傍の衝立の方を向きながら、苦しそうな顔をして笑をこらえていた。
「伝右衛門殿も老人はお嫌いだと見えて、とかくこちらへはお出になりませんな。