芥川龍之介 『お富の貞操』 ――さう云ふ達しのあつた午過ぎだつた。 下谷町二丁目の小間物店、古河屋政兵衛の立ち退いた跡には、台所の隅の蚫貝の前に大きい牡の三毛猫が一匹静かに香箱をつくつてゐた。 戸をしめ切つた家の中は勿論午過ぎでもまつ暗だつた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア