芥川龍之介 『お富の貞操』 乞食は髪の水を切つたり、顔の滴を拭つたりしながら、小声に猫の名前を呼んだ。 猫はその声に聞き覚えがあるのか、平めてゐた耳をもとに戻した。 が、まだ其処に佇んだなり、時々はじろじろ彼の顔へ疑深い眼を注いでゐた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア