乞食は猫を撫でやめると、今度は古湯帷子の懐から、油光りのする短銃を出した。
さうして覚束ない薄明りの中に、引き金の具合を検べ出した。
「いくさ」の空気の漂つた、人気のない家の台所に短銃をいぢつてゐる一人の乞食――それは確に小説じみた、物珍らしい光景に違ひなかつた。
乞食は猫を撫でやめると、今度は古湯帷子の懐から、油光りのする短銃を出した。
さうして覚束ない薄明りの中に、引き金の具合を検べ出した。
「いくさ」の空気の漂つた、人気のない家の台所に短銃をいぢつてゐる一人の乞食――それは確に小説じみた、物珍らしい光景に違ひなかつた。