芥川龍之介 『お富の貞操』 が、最初の驚きから、やつと勇気を恢復すると、台所の薄明りに透かしながら、ぢつと乞食の顔を覗きこんだ。 乞食は呆気にとられたのか、古湯帷子の片膝を立てた儘、まじまじ相手を見守つてゐた。 もうその眼にもさつきのやうに、油断のない気色は見えなかつた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア