新公は障子を後ろにしたなり、ぢつとお富を睨みつけた。
何時か髪も壊れたお富は、べつたり板の間に坐りながら、帯の間に挾んで来たらしい剃刀を逆手に握つてゐた。
それは殺気を帯びてもゐれば、同時に又妙に艶めかしい、云はば荒神の棚の上に、背を高めた猫と似たものだつた。
新公は障子を後ろにしたなり、ぢつとお富を睨みつけた。
何時か髪も壊れたお富は、べつたり板の間に坐りながら、帯の間に挾んで来たらしい剃刀を逆手に握つてゐた。
それは殺気を帯びてもゐれば、同時に又妙に艶めかしい、云はば荒神の棚の上に、背を高めた猫と似たものだつた。