姫君は寂しい屋形の対に、やはり昔と少しも変らず、琴を引いたり歌を詠んだり、単調な遊びを繰返してゐた。
すると或秋の夕ぐれ、乳母は姫君の前へ出ると、考へ考へこんな事を云つた。
「甥の法師の頼みますには、丹波の前司なにがしの殿が、あなた様に会はせて頂きたいとか申して居るさうでございます。
姫君は寂しい屋形の対に、やはり昔と少しも変らず、琴を引いたり歌を詠んだり、単調な遊びを繰返してゐた。
すると或秋の夕ぐれ、乳母は姫君の前へ出ると、考へ考へこんな事を云つた。
「甥の法師の頼みますには、丹波の前司なにがしの殿が、あなた様に会はせて頂きたいとか申して居るさうでございます。