長い廊下の一方は硝子障子で、庭の刀柏や高野槙につもった雪がうす青く暮れた間から、暗い大川の流れをへだてて、対岸のともしびが黄いろく点々と数えられる。
川の空をちりちりと銀の鋏をつかうように、二声ほど千鳥が鳴いたあとは、三味線の声さえ聞えず戸外も内外もしんとなった。
きこえるのは、薮柑子の紅い実をうずめる雪の音、雪の上にふる雪の音、八つ手の葉をすべる雪の音が、ミシン針のひびくようにかすかな囁きをかわすばかり、話し声はその中をしのびやかにつづくのである。
長い廊下の一方は硝子障子で、庭の刀柏や高野槙につもった雪がうす青く暮れた間から、暗い大川の流れをへだてて、対岸のともしびが黄いろく点々と数えられる。
川の空をちりちりと銀の鋏をつかうように、二声ほど千鳥が鳴いたあとは、三味線の声さえ聞えず戸外も内外もしんとなった。
きこえるのは、薮柑子の紅い実をうずめる雪の音、雪の上にふる雪の音、八つ手の葉をすべる雪の音が、ミシン針のひびくようにかすかな囁きをかわすばかり、話し声はその中をしのびやかにつづくのである。