芥川龍之介 『老年』 女の姿はどこにもない。 紺と白茶と格子になった炬燵蒲団の上には、端唄本が二三冊ひろげられて頸に鈴をさげた小さな白猫がその側に香箱をつくっている。 猫が身うごきをするたびに、頸の鈴がきこえるか、きこえぬかわからぬほどかすかな音をたてる。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア