と云うよりもむしろそれだけの人間がいて、始めて感じられるような一種の沈黙が支配していた。
書物の頁を飜す音、ペンを紙に走らせる音、それから稀に咳をする音――それらの音さえこの沈黙に圧迫されて、空気の波動がまだ天井まで伝わらない内に、そのまま途中で消えてしまうような心もちがした。
俊助はこう云う図書館の窓際の席に腰を下して、さっきから細かい活字の上に丹念な眼を曝していた。
と云うよりもむしろそれだけの人間がいて、始めて感じられるような一種の沈黙が支配していた。
書物の頁を飜す音、ペンを紙に走らせる音、それから稀に咳をする音――それらの音さえこの沈黙に圧迫されて、空気の波動がまだ天井まで伝わらない内に、そのまま途中で消えてしまうような心もちがした。
俊助はこう云う図書館の窓際の席に腰を下して、さっきから細かい活字の上に丹念な眼を曝していた。