彼はそこに佇んだまま、しばらくはただあたりの机を睨めつけたように物色していたが、やがて向うの窓を洩れる大幅な薄日の光の中に、余念なく書物をはぐっている俊助の姿が目にはいると、早速その椅子の後へ歩み寄って、「おい」と小さな声をかけた。
俊助は驚いたように顔を挙げて、相手の方を振返ったが、たちまち浅黒い頬に微笑を浮べて「やあ」と簡単な挨拶をした。
と、大井も角帽をかぶったなり、ちょいと顋でこの挨拶に答えながら、妙に脂下った、傲岸な調子で、
彼はそこに佇んだまま、しばらくはただあたりの机を睨めつけたように物色していたが、やがて向うの窓を洩れる大幅な薄日の光の中に、余念なく書物をはぐっている俊助の姿が目にはいると、早速その椅子の後へ歩み寄って、「おい」と小さな声をかけた。
俊助は驚いたように顔を挙げて、相手の方を振返ったが、たちまち浅黒い頬に微笑を浮べて「やあ」と簡単な挨拶をした。
と、大井も角帽をかぶったなり、ちょいと顋でこの挨拶に答えながら、妙に脂下った、傲岸な調子で、