金屏風を立て廻した演壇へは、まずフロックを着た中年の紳士が現れて、額に垂れかかる髪をかき上げながら、撫でるように柔しくシュウマンを唱った。
それは Ich Kann's nicht fassen, nicht glauben で始まるシャミッソオの歌だった。
俊助はその舌たるい唄いぶりの中から、何か恐るべく不健全な香気が、発散して来るのを感ぜずにはいられなかった。
金屏風を立て廻した演壇へは、まずフロックを着た中年の紳士が現れて、額に垂れかかる髪をかき上げながら、撫でるように柔しくシュウマンを唱った。
それは Ich Kann's nicht fassen, nicht glauben で始まるシャミッソオの歌だった。
俊助はその舌たるい唄いぶりの中から、何か恐るべく不健全な香気が、発散して来るのを感ぜずにはいられなかった。