血色の鮮かな、眼にも眉にも活々した力の溢れている、年よりは小柄な初子は、俊助の姿を見るが早いか、遠くから靨を寄せて、気軽くちょいと腰をかがめた。
と、野村も広い金釦の胸を俊助の方へ向けながら、度の強い近眼鏡の後に例のごとく人の好さそうな微笑を漲らせて、鷹揚に「やあ」と頷いて見せた。
俊助は暖炉の上の鏡を背負って、印度更紗の帯をしめた初子と大きな体を制服に包んだ野村とが、向い合って立っているのを眺めた時、刹那の間彼等の幸福が妬しいような心もちさえした。
血色の鮮かな、眼にも眉にも活々した力の溢れている、年よりは小柄な初子は、俊助の姿を見るが早いか、遠くから靨を寄せて、気軽くちょいと腰をかがめた。
と、野村も広い金釦の胸を俊助の方へ向けながら、度の強い近眼鏡の後に例のごとく人の好さそうな微笑を漲らせて、鷹揚に「やあ」と頷いて見せた。
俊助は暖炉の上の鏡を背負って、印度更紗の帯をしめた初子と大きな体を制服に包んだ野村とが、向い合って立っているのを眺めた時、刹那の間彼等の幸福が妬しいような心もちさえした。