するとその後また一週間と経たない内に、俊助は上野行の電車の中で、偶然辰子と顔を合せた。
それは春先の東京に珍しくない、埃風の吹く午後だった。
俊助は大学から銀座の八咫屋へ額縁の註文に廻った帰りで、尾張町の角から電車へ乗ると、ぎっしり両側の席を埋めた乗客の中に、辰子の寂しい顔が見えた。
するとその後また一週間と経たない内に、俊助は上野行の電車の中で、偶然辰子と顔を合せた。
それは春先の東京に珍しくない、埃風の吹く午後だった。
俊助は大学から銀座の八咫屋へ額縁の註文に廻った帰りで、尾張町の角から電車へ乗ると、ぎっしり両側の席を埋めた乗客の中に、辰子の寂しい顔が見えた。