だから彼はもう一度鳥打帽の庇へ手をかけると、未練なくあたりの人影に交って、入口の階段の方へ歩き出した。
が、その時、ふと彼の前を通りすぎる汽車の窓が眼にはいると、思いがけずそこには大井篤夫が、マントの肘を窓枠に靠せながら、手巾を振っているのが見えた。
俊助は思わず足を止めた。
だから彼はもう一度鳥打帽の庇へ手をかけると、未練なくあたりの人影に交って、入口の階段の方へ歩き出した。
が、その時、ふと彼の前を通りすぎる汽車の窓が眼にはいると、思いがけずそこには大井篤夫が、マントの肘を窓枠に靠せながら、手巾を振っているのが見えた。
俊助は思わず足を止めた。