目次を見ると、藤沢の「鳶色の薔薇」と云う抒情詩的の戯曲を筆頭に、近藤のロップス論とか、花房のアナクレオンの飜訳とか、いろいろな表題が行列していた。
俊助ははなはだ同情のない眼で、しばらくそれらの表題を見廻していたが、やがて「倦怠」――大井篤夫と云う一行の文字にぶつかると、急にさっきの大井の姿が鮮かに記憶に浮んで来たので、早速その小説が載っている巻末の頁をはぐって見た。
と、それは三人称でこそ書いてはあるが、実は今夜聞いた大井の告白を、そのまま活字にしたような小説だった。
目次を見ると、藤沢の「鳶色の薔薇」と云う抒情詩的の戯曲を筆頭に、近藤のロップス論とか、花房のアナクレオンの飜訳とか、いろいろな表題が行列していた。
俊助ははなはだ同情のない眼で、しばらくそれらの表題を見廻していたが、やがて「倦怠」――大井篤夫と云う一行の文字にぶつかると、急にさっきの大井の姿が鮮かに記憶に浮んで来たので、早速その小説が載っている巻末の頁をはぐって見た。
と、それは三人称でこそ書いてはあるが、実は今夜聞いた大井の告白を、そのまま活字にしたような小説だった。