とある年の秋の夕暮、われ独り南蛮寺の境内なる花木の茂みを歩みつつ、同じく切支丹宗門の門徒にして、さるやんごとなきあたりの夫人が、涙ながらの懺悔を思いめぐらし居たる事あり。
先つごろ、その夫人のわれに申されけるは、「このほど、怪しき事あり。
日夜何ものとも知れず、わが耳に囁きて、如何ぞさばかりむくつけき夫のみ守れる。
とある年の秋の夕暮、われ独り南蛮寺の境内なる花木の茂みを歩みつつ、同じく切支丹宗門の門徒にして、さるやんごとなきあたりの夫人が、涙ながらの懺悔を思いめぐらし居たる事あり。
先つごろ、その夫人のわれに申されけるは、「このほど、怪しき事あり。
日夜何ものとも知れず、わが耳に囁きて、如何ぞさばかりむくつけき夫のみ守れる。