ただ、専念に祈祷を唱え、DS の御徳にすがり奉って、万一「いんへるの」の業火に焼かるる事を免るべし」と。
われ、さらにまた南蛮の画にて見たる、悪魔の凄じき形相など、こまごまと談りければ、夫人も今更に「じゃぼ」の恐しさを思い知られ、「さてはその蝙蝠の翼、山羊の蹄、蛇の鱗を備えしものが、目にこそ見えね、わが耳のほとりに蹲りて、淫らなる恋を囁くにや」と、身ぶるいして申されたり。
われ、その一部始終を心の中に繰返しつつ、異国より移し植えたる、名も知らぬ草木の薫しき花を分けて、ほの暗き小路を歩み居しが、ふと眼を挙げて、行手を見れば、われを去る事十歩ならざるに、伴天連めきたる人影あり。