その鼻蔵の、鼻蔵人の、大鼻の蔵人得業の恵印法師が、ある夜の事、弟子もつれずにただ一人そっと猿沢の池のほとりへ参りまして、あの采女柳の前の堤へ、『三月三日この池より竜昇らんずるなり』と筆太に書いた建札を、高々と一本打ちました。
けれども恵印は実の所、猿沢の池に竜などがほんとうに住んでいたかどうか、心得ていた訳ではございません。
ましてその竜が三月三日に天上すると申す事は、全く口から出まかせの法螺なのでございます。
その鼻蔵の、鼻蔵人の、大鼻の蔵人得業の恵印法師が、ある夜の事、弟子もつれずにただ一人そっと猿沢の池のほとりへ参りまして、あの采女柳の前の堤へ、『三月三日この池より竜昇らんずるなり』と筆太に書いた建札を、高々と一本打ちました。
けれども恵印は実の所、猿沢の池に竜などがほんとうに住んでいたかどうか、心得ていた訳ではございません。
ましてその竜が三月三日に天上すると申す事は、全く口から出まかせの法螺なのでございます。