いや、どちらかと申しましたら、天上しないと申す方がまだ確かだったのでございましょう。
ではどうしてそんな入らざる真似を致したかと申しますと、恵印は日頃から奈良の僧俗が何かにつけて自分の鼻を笑いものにするのが不平なので、今度こそこの鼻蔵人がうまく一番かついだ挙句、さんざん笑い返してやろうと、こう云う魂胆で悪戯にとりかかったのでございます。
御前などが御聞きになりましたら、さぞ笑止な事と思召しましょうが、何分今は昔の御話で、その頃はかような悪戯を致しますものが、とかくどこにもあり勝ちでございました。