が、婆さんの行った後には、もう早立ちの旅人と見えて、伴の下人に荷を負わせた虫の垂衣の女が一人、市女笠の下から建札を読んで居るのでございます。
そこで恵印は大事をとって、一生懸命笑を噛み殺しながら、自分も建札の前に立って一応読むようなふりをすると、あの大鼻の赤鼻をさも不思議そうに鳴らして見せて、それからのそのそ興福寺の方へ引返して参りました。
「すると興福寺の南大門の前で、思いがけなく顔を合せましたのは、同じ坊に住んで居った恵門と申す法師でございます。
が、婆さんの行った後には、もう早立ちの旅人と見えて、伴の下人に荷を負わせた虫の垂衣の女が一人、市女笠の下から建札を読んで居るのでございます。
そこで恵印は大事をとって、一生懸命笑を噛み殺しながら、自分も建札の前に立って一応読むようなふりをすると、あの大鼻の赤鼻をさも不思議そうに鳴らして見せて、それからのそのそ興福寺の方へ引返して参りました。
「すると興福寺の南大門の前で、思いがけなく顔を合せましたのは、同じ坊に住んで居った恵門と申す法師でございます。