それともあの建札を建てたばかりに、こんな騒ぎが始まったと思うと、何となく気が咎めるので、知らず知らずほんとうに竜が昇ってくれれば好いと念じ出したのでございましょうか。
その辺の事情はともかくも、あの高札の文句を書いたものは自分だと重々承知しながら、それでも恵印は次第次第に情けない気もちが薄くなって、自分も叔母の尼と同じように飽かず池の面を眺め始めました。
また成程そう云う気が起りでも致しませんでしたら、昇る気づかいのない竜を待って、いかに不承不承とは申すものの、南大門の下に小一日も立って居る訳には参りますまい。