その辺の事情はともかくも、あの高札の文句を書いたものは自分だと重々承知しながら、それでも恵印は次第次第に情けない気もちが薄くなって、自分も叔母の尼と同じように飽かず池の面を眺め始めました。
また成程そう云う気が起りでも致しませんでしたら、昇る気づかいのない竜を待って、いかに不承不承とは申すものの、南大門の下に小一日も立って居る訳には参りますまい。
「けれども猿沢の池は前の通り、漣も立てずに春の日ざしを照り返して居るばかりでございます。
その辺の事情はともかくも、あの高札の文句を書いたものは自分だと重々承知しながら、それでも恵印は次第次第に情けない気もちが薄くなって、自分も叔母の尼と同じように飽かず池の面を眺め始めました。
また成程そう云う気が起りでも致しませんでしたら、昇る気づかいのない竜を待って、いかに不承不承とは申すものの、南大門の下に小一日も立って居る訳には参りますまい。
「けれども猿沢の池は前の通り、漣も立てずに春の日ざしを照り返して居るばかりでございます。