天王寺の別当、道命阿闍梨は、ひとりそっと床をぬけ出すと、経机の前へにじりよって、その上に乗っている法華経八の巻を灯の下に繰りひろげた。
切り燈台の火は、花のような丁字をむすびながら、明く螺鈿の経机を照らしている。
耳にはいるのは几帳の向うに横になっている和泉式部の寝息であろう。
天王寺の別当、道命阿闍梨は、ひとりそっと床をぬけ出すと、経机の前へにじりよって、その上に乗っている法華経八の巻を灯の下に繰りひろげた。
切り燈台の火は、花のような丁字をむすびながら、明く螺鈿の経机を照らしている。
耳にはいるのは几帳の向うに横になっている和泉式部の寝息であろう。