こう云って阿闍梨は容をあらためると、水晶の念珠を振って、苦々しげに叱りつけた。
「業畜、急々に退き居ろう。
すると、翁は、黄いろい紙の扇を開いて、顔をさしかくすように思われたが、見る見る、影が薄くなって、蛍ほどになった切り燈台の火と共に、消えるともなく、ふっと消える――と、遠くでかすかながら、勇ましい一番鶏の声がした。
こう云って阿闍梨は容をあらためると、水晶の念珠を振って、苦々しげに叱りつけた。
「業畜、急々に退き居ろう。
すると、翁は、黄いろい紙の扇を開いて、顔をさしかくすように思われたが、見る見る、影が薄くなって、蛍ほどになった切り燈台の火と共に、消えるともなく、ふっと消える――と、遠くでかすかながら、勇ましい一番鶏の声がした。