が、幸い本間さんには、少しもそれが気にならない。
何故かと云うと、本間さんの頭には、今見て来た驚くべき光景が、一ぱいになって拡がっている。
一等室の鶯茶がかった腰掛と、同じ色の窓帷と、そうしてその間に居睡りをしている、山のような白頭の肥大漢と、――ああその堂々たる相貌に、南洲先生の風骨を認めたのは果して自分の見ちがいであったろうか。
が、幸い本間さんには、少しもそれが気にならない。
何故かと云うと、本間さんの頭には、今見て来た驚くべき光景が、一ぱいになって拡がっている。
一等室の鶯茶がかった腰掛と、同じ色の窓帷と、そうしてその間に居睡りをしている、山のような白頭の肥大漢と、――ああその堂々たる相貌に、南洲先生の風骨を認めたのは果して自分の見ちがいであったろうか。