奇観と云へば、まああの位、奇観はありますまい。
六百人の人間が皆、裸で、上甲板一杯に、並んでゐるのですから。
その中でも、顔や手首のまつ黒なのが、機関兵で、この連中は今度の盗難に、一時嫌疑をかけられた事があるものですから、猿股までぬいで、検べるのならどこでも検べてくれと云ふ恐しいやうな権幕です。
奇観と云へば、まああの位、奇観はありますまい。
六百人の人間が皆、裸で、上甲板一杯に、並んでゐるのですから。
その中でも、顔や手首のまつ黒なのが、機関兵で、この連中は今度の盗難に、一時嫌疑をかけられた事があるものですから、猿股までぬいで、検べるのならどこでも検べてくれと云ふ恐しいやうな権幕です。