しかるに旧来の親子関係に附着したままの評価を与えて、孝を叙述していると、在来の孝心を維持するか、もしくは不孝のものを啓発するか、または一層孝心を深くするための叙述になります。
今日は孝の時代でないから親を粗末にして好いと誰も云うものはありませんが、昔のように絶対的評価をつけて叙述するのは、どうでありましょう。
孝と云う字は現に勅語にもあって大切な情操には相違ございませんが、昔日のように親が絶対的権威を弄する事を社会の有様が許さない以上は、多少その辺に注意を払った適度の評価をしなければなりますまい。